コラム

column

“コルチゾール”と性ホルモンの関係

前回、疲れの原因物質“活性酸素”と抗ストレスホルモン“コルチゾール”についてお話をしました。
実はこの抗ストレスホルモン“コルチゾール”は性ホルモンの分泌量にも影響を及ぼします。
つまり、生理不順であったり、不妊にも関係してくるのです。

一般的に性ホルモンというのはHPG(視床下部―下垂体―性腺)軸という流れがあり、視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが下垂体に向けて放出され、ホルモンによって刺激を受けた下垂体が性腺刺激ホルモンを放出します。この性腺刺激ホルモンは2種類あり、黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)があります。これら2種類の働きにより、正常な生理周期や妊娠への準備が整います。

しかし、現代のストレス社会では、精神的ストレス、身体的ストレス(不規則な生活や身体の冷え、環境の影響等)により、生理不順が起こります。これはストレスに対して抗ストレスホルモン“コルチゾール”が過剰に分泌された結果、このコルチゾールが視床下部のコルチゾール受容体に結合すると、性腺刺激ホルモンの分泌を促すゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が抑制されてしまう為です。

ゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が抑制されると、下垂体が刺激されず、黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモンの分泌も抑制されてしまいます。その結果、黄体形成や排卵が正常に行われず、生理周期が乱れ、子宮内膜も未発達で薄くなります。卵胞の発育も抑制され、卵胞が育たなくなってしまいます。

つまり、ストレスが過剰な状態が続くと、生理不順や不妊へと繋がっていきます。

これを改善するためには、ストレスを減らすことが大切です。

1.ストレスを発散させる趣味を開拓する・ゆっくり心身を休める時間を作る
2.運動習慣を身に付ける
3.三食きっちり摂る
4.規則正しい生活をする
5.環境から受ける無意識のストレスを減らす

ストレスの解消法は人それぞれですが、ざっと挙げると上記の5つの中から自身の生活の中で取り組んでみると良いと思います。

1.ストレスを発散させる趣味を開拓する・ゆっくり心身を休める時間を作る
 精神的ストレスを解消するためによく言われる言葉だと思います。やりたい趣味がある方はそれに取り組む時間を作ることを意識すると良いと思います。休日に自己研鑽を求められることもありますが、ずっとそれに取り組み続けると身体も心も休む時間が無くなってしまいます。たまには自身のやりたいことに取り組んだり、または疲れている時は無理をせずゆっくり休む時間を作ると良いでしょう。
 趣味がない方の場合は家でゆっくり休むのも良いですし、気分を変える為に日帰り旅行に出かけるのも良いと思います。普段と違うものに触れることによって、気分転換になりますし、自身がやりたいことを見つけられるかもしれません。現状のサイクルから少し外れてみる、ということも大切です。

2.運動習慣を身に付ける
 身体づくりもありますが、身体を動かすことは意外とストレス解消に繋がったりします。好きなスポーツに取り組むのも良いですし、身体を動かすのが得意ではないという方は合間の時間でストレッチをするだけでも気分が変えられます。ただし、怪我をしては元も子もないので、無理のない範囲で行いましょう。

3.三食きっちり摂る
 毎日の食事も大切です。朝・昼・晩、時間を決めて食事を摂りましょう。炭水化物、タンパク質、ビタミン・ミネラルなど栄養素のバランスも摂ることが大切です。特に女性の場合、炭水化物ダイエットを行う方もいらっしゃいますが、炭水化物は身体を動かすエネルギー源になります。これが不足すると、エネルギーを補充する為に自身の筋肉を分解して代用しようとするので、より代謝が悪くなり、冷えやすく太りやすい身体になってしまいます。冷えやすい身体になると生理不順や生理痛が重くなったりしてしまうので注意が必要です。

4.規則正しい生活をする
 人間には朝起きて昼間活動し、夜になったら休むという一日のリズムがあります。これに従って規則正しい生活を行うことが毎日元気に活動する為に大切です。昼夜が逆転したり、決まった時間に寝て起きるということができないとそれだけでストレスは蓄積していき、抗ストレスホルモンであるコルチゾールも必要以上に増加します。仕事の関係でなかなか不規則になりがちな方は身体をしっかり休められる日を作り、できるだけその日の内に就寝し、朝起きて日の光を浴びる、ということを意識してみましょう。

5.環境から受ける無意識のストレスを減らす。
 実は暑さ、寒さ、今の時期なら花粉や黄砂など、環境要因から受ける無意識のストレスというものもあります。我慢して耐えるということもストレスになるという訳です。1日で10℃以上の気温変化がある日などは自律神経も乱れやすいので、特に衣服は気温に合わせて調節できるようにしておきましょう。また、花粉や黄砂も花粉症の有無に関わらずマスクをしたり衣服に付着したものを払い落としたりこまめな掃除をすることで吸い込むのをできるだけ減らすようにしておきましょう。身体にはアレルギー物質に対して許容量というものがあり、この許容量を超えると症状として出てきます。花粉症を発症するとそれもストレスの原因になります。

 皆さん其々に生活スタイルがあると思います。今挙げた5つの注意点についても全てがこなせる訳ではないと思います。ご自身のできる範囲で取り組み、少しでもストレスを減らすようにして気持ちよく過ごせるようにしましょう。

 それでも生理不順や生理痛、不妊、更年期障害などの症状がなかなか改善しなかったり、今すぐどうにかしたいという場合には漢方薬や保健薬、健康食品を使うという方法もあります。詳しくは小野山陽堂薬局へご相談下さい^^