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梅雨時期の関節痛。

梅雨を始め、雨が多くなる時期には関節の痛みが強くなるように感じられる方がいらっしゃいます。

一般的には湿度の上昇、気圧の低下が関係していると言われます。実際、どういったメカニズムなのでしょうか?今回はそれに触れながら、梅雨時期の痛みへの養生法をお話しようと思います。

梅雨時期に関節の痛みが強くなる要因は大きく3つです。

1.湿度の上昇に伴う浮腫み
 梅雨の時期は湿度が高くなる為、皮膚や気道から出ていく水分量(不感蒸散と言います。)が減ります。その為、身体に水が溜まり、浮腫みやすくなります。この時、関節内の結合組織や滑膜内の水分量も増えて、関節の腫れや痛みに繋がると言われています。

2.気圧の変化と神経の反応
 関節やその周囲の組織(筋肉、骨、滑膜)には侵害受容体(痛覚受容体)という神経の末端組織があります。この侵害受容体は物理的、科学的、熱的な刺激を感知し、痛みの情報として脳に伝え、痛みを感じます。気圧の変化がこの侵害受容体を刺激し、痛みを感じることがあると言われています。

3.水分貯留による体の冷え
 やや漢方的な視点で考えてみると、1.で言ったように湿度が高いと皮膚や気道から体感しないまま身体から出ていく水分量が減ります。すると体の中に水分が多い状態になります。身体の中に水分が多いと身体は冷えやすくなり、冷えは炎症や痛みを悪化させます。似たメカニズムとして、もち米を食べると痛みが悪化する、というものがあります。これはもち米が水分を溜め込む性質があり、水分量が増えて身体が冷え、その結果、関節痛が悪化したり、アレルギー症状が悪化すると言われています。

では、痛みを悪化させない、悪化した痛みを軽減するにはどうすれば良いでしょうか。
解決方法としては下記のようなものが挙げられます。

① 入浴で関節を温める
 水分が多く、身体が冷えて生じる痛みは血流の悪さと関係しています。湯舟に浸かって身体を温めることで血行が良くなると痛みが軽減されます。温かいシャワーも悪くはありませんが、身体が芯まで温められていないと水滴に風が当たる時にまた身体が冷えてしまいますので、湯舟に浸かることをオススメします。目安は夏場ですので39~40℃くらいのお湯に10分程度。ゆっくり浸かって休めるくらいの温度が適温です。熱過ぎると熱がこもって熱中症のリスクにもなるので気を付けてください。

② 室内環境を整える
 換気を行ったり、エアコンや除湿機などを使って除湿をして、室内環境を整えることも大事です。湿度が高いと不快指数も高まります。ストレスによって筋肉が緊張し、血行が悪くなったり、侵害受容体が刺激されて痛みを感じやすくなるので、普段過ごす環境を整えることは大切です。
 また湿度が高いと、汗を掻いた時に汗が蒸発せず、気化熱による皮膚の冷却が起きない為、身体に熱がこもり、室内熱中症のリスクにもつながります。我慢をせず、環境を変えることは健康管理において重要です。


③ 適度な運動やストレッチ
 関節や筋肉を動かし、柔軟性を保つことも痛みを軽減する上で大切です。筋肉を動かせば、血流の改善にもなりますので、定期的な運動習慣を身に付けるようにしましょう。雨に影響されない室内でも簡単に取り組めるストレッチをするのがオススメです。

④ 関節をサポートする栄養素を摂取する
 健康的でバランスの良い食事を心がけることは何においても大切なことですが、関節痛でお悩みの方の場合は特にオメガ-3脂肪酸を多く含む魚(サバ、イワシ、サンマ、マグロ、シャケなど)やナッツ(くるみがダントツでオススメ)・油(えごま油・アマニ油)、抗酸化作用のあるビタミンC,Eを多く含む野菜(ブロッコリー、パプリカ、カボチャ、タマネギ、大豆、枝豆など)や果物(キウイフルーツ(黄)、アボカド、ドライマンゴーなど)を意識して取り入れるのがオススメです。

全てに取り組むというのは簡単なことではありませんので、自身の生活スタイルの中で取り入れられるものから取り組んで、習慣化するのが良いでしょう。どう取り組んでいけば良いか分からない、なかなか出来ないけど何とかしたい、少しでも早く痛みを楽にしたい、という方は是非、小野山陽堂薬局にご相談下さい。お話を聞かせて頂き、お客様のライフスタイルに合った方法をご提案させて頂きます。