コラム

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葉酸のお話① 葉酸について

【葉酸(ビタミンB9)とは?】

葉酸は、水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB群)の一つで、特に細胞の成長やDNAの合成に関わる非常に重要な栄養素です。


 ① 赤血球の生成を助ける(貧血予防)

葉酸はビタミンB12とともに、骨髄で赤血球をつくる働きを助けます。
不足すると、巨赤芽球性貧血(ビタミン性の貧血)を起こすことがあります。


 ② 胎児の正常な発育に必須(特に神経系)

葉酸は妊娠初期の胎児の神経管形成に不可欠です。

  • 妊娠前〜妊娠初期(妊娠1ヶ月〜3ヶ月)にしっかり葉酸を摂取することで、
    神経管閉鎖障害(無脳症、二分脊椎など)の発症リスクを減らすとされています。

  • そのため、厚生労働省は妊娠を希望する女性に対し、
    400μg/日の葉酸サプリメントの摂取を推奨しています。


 ③ DNAの合成と修復に関わる

細胞分裂・成長に必要なDNA・RNAの合成に葉酸は不可欠です。
そのため、以下のような場面で特に重要になります:

  • 成長期の子ども

  • 妊娠中・授乳中の女性

  • がん予防の観点からも研究が進められています


 ④ ホモシステイン代謝の調整(動脈硬化予防)

葉酸は、血中のホモシステインというアミノ酸の代謝に関与します。

  • ホモシステインが高くなると、動脈硬化や心疾患リスクが上がるとされており、

  • 葉酸(+ビタミンB6・B12)を十分に摂取することで、これを正常値に保つ働きがあります。


 ⑤ 精神の安定や脳の健康にも

葉酸は神経伝達物質の合成にも関わるため、うつ症状の軽減や認知機能の維持にも関与している可能性があると研究されています。


まとめ(葉酸の効能一覧)

効能内容
赤血球の生成貧血の予防(特に巨赤芽球性貧血)
胎児の発育神経管閉鎖障害の予防、健康な妊娠の維持
DNA合成細胞の分裂・成長に不可欠
動脈硬化予防ホモシステインの代謝を助ける
脳・精神機能うつ・認知症との関連性が研究中

【葉酸を多く含む食品】

  • 緑の葉野菜(ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガスなど)

  • 海藻類(海苔、わかめなど)
  • 果物(いちご、オレンジ、アボカドなど)

  • 豆類(納豆、枝豆、レンズ豆など)

  • レバー類(鶏・豚)

  • 卵黄

※食品から摂る葉酸(天然型)は吸収率がやや低く(50%前後)
サプリメントで摂取することも推奨されています。
ただし、サプリメントで摂取する際は合成葉酸に気を付ける必要があります。


ご自身やご家族のライフステージ(妊活中・妊娠中・成長期など)に合わせて、
食事やサプリで適切に葉酸を摂取することがとても大切です。