睡眠について
「春眠、暁を覚えず」という言葉があります。
春になり、暖かくなって過ごしやすくなるとついつい眠くなることもありますね。
ですが、実は現代の日本人は睡眠障害に悩んでいる方が多いです。
そして、その睡眠障害が原因で昼間も眠くなり、パフォーマンスが落ちることがしばしばあります。
今回は睡眠について、お話します。
まず睡眠の役割について
睡眠は日中の活動による疲労を回復します。
● 身体の休息
● こころ(脳)の休息
その他、具体的に睡眠中に身体が行っていることを解説すると・・・
● 体温調節 → 深部体温、内臓の温度、脳の温度を調節し、適切な体温に調整します。
● ホルモン分泌 → 抗ストレスホルモンのコルチゾールや睡眠ホルモンのメラトニン等の分泌をしています。
● 記憶や感情の整理整頓 → これはレム睡眠(浅い睡眠)と関係していますが、その日あった出来事の記憶や感情を整理します。これによって、感情的になっていたことも冷静に振り返れるようになります。
● 自律神経の調整 → 交感神経と副交感神経の調節をします。これができていないと交感神経活性が強い状態のままになり、それが生活習慣病に繋がります。
● 免疫機能の調節 → 免疫細胞の働きを強化し、ウィルスや細菌に対する抵抗力を高めます。また成長ホルモンの分泌により傷ついた細胞や組織を修復します。
● 酸化ストレスの除去 → 脳や体に溜まった活性酸素を自身で抗酸化酵素を作り、除去します。
● β-アミロイド蛋白の蓄積防止 → 深い睡眠をとっている時に脳の老廃物であるβ-アミロイド蛋白を脳脊髄液からこし取ってリンパ管に排出する機能が働きます。
細かく列挙するだけでもこんなにあり、質の良い睡眠をとることが健康にとってとても重要であることが分かります。
しかしながら、現代の日本人は世界的に見ても睡眠時間が短いです。
平日睡眠時間は日本が平均6.5時間で、アメリカ・フランスより約0.5時間短いです。
また平日睡眠時間が6時間未満の割合は、日本が最も多く19.8%。アメリカは12.5%、フランスは10.2%です。
この為、アメリカ・フランスと比較して、日本人の日中パフォーマンスも低下しています。
睡眠障害とは
睡眠障害とは、
●「なかなか眠れない」
●「夜中に何度も目が覚める」
●「朝早く起きてしまう」
●「十分寝たはずなのに眠い」
など、睡眠がうまく取れない状態のことです。
代表的なものは、
● 不眠症(眠れない)
● 睡眠時無呼吸症候群(寝ている間に呼吸が止まる)
● 概日リズム睡眠障害(体内時計がずれる)
などがあります。
不眠症の主なタイプ
特に多いのが 不眠症です。症状にはいくつかのタイプがあります。
1️⃣ 入眠困難
布団に入っても30分〜1時間以上眠れない
2️⃣ 中途覚醒
夜中に何度も目が覚める
3️⃣ 早朝覚醒
朝早く目が覚めて、その後眠れない
4️⃣ 熟眠障害
寝てもぐっすり眠った感じがしない
睡眠障害の主な原因
原因は人によって様々です。
🧠 ストレス・不安
仕事・家庭の人間関係、育児、受験など
☕ 生活習慣
●寝る前のスマホ、テレビ
●アルコール、たばこ、カフェイン、夜食(ラーメンや油ものなど重いもの)
●夜更かし
🏥 病気
●うつ病
●更年期障害
●眠時無呼吸症候群
💊 薬の影響
一部の薬でも眠りに影響が出ることがあります。
自分でできる改善方法(睡眠衛生)
薬の前に、まず生活習慣を整えることが大切です。
🌙 毎日同じ時間に寝て起きる
体内時計が整います。また習慣化することにより、目覚まし無しにその時間に自然に目が覚めるようになります。
📱 寝る1時間前はスマホ・PC・テレビを控える
光(ブルーライト)が脳を覚醒させます。寒色の光が特に脳を覚醒させやすいです。寝る時間が近い時は電球色のライトなどを使うのも手です。
☕ 夕方以降のアルコール・タバコ・カフェインを控える
どれも睡眠の質を下げてしまいます。寝る前には摂らないよう心がけましょう。
🛁 ぬるめのお風呂に入る
40~41℃の湯舟に10分ほど浸かり、体の芯を温めるようにしましょう。寝る1〜2時間前がおすすめです。お風呂上りで火照った身体が徐々に冷めてくると共に自然に眠気がやってきますので、それに任せてベッドに入ると良いでしょう。
☀️ 朝日を浴びる
体内時計がリセットされます。朝起きたらまずカーテンを開けて朝日を浴びましょう。雨の日で思ったより日光が入ってこない場合は部屋の灯りをつけて明るくしましょう。
薬が必要な場合
生活習慣を改善しても眠れない場合、医師が睡眠薬を処方することがあります。
代表的な薬の例
● ゾルピデム
● エスゾピクロン
● ラメルテオン
これらは正しく使えば安全な薬ですが、
● 自己判断で増量しない
● アルコールと一緒に飲まない
ことが大切です。
受診の目安
次のような場合は医療機関を受診してください。
● 眠れない状態が 2週間以上続く
● 日中の生活に支障がある
● いびきや呼吸停止を指摘された
💡 最後に
睡眠は「気合で眠るもの」ではなく、生活習慣・体・心のバランスで決まります。
無理に眠ろうとすると、逆に眠れなくなることもあります。
不眠症の認知行動療法の一つを意識してみましょう。
● 刺激制御療法 → 眠れない不安や過度の睡眠欲求を行動で修正します。
☞眠くなってからベッドに入る
☞眠れない時はベッドから離れる
(無理に寝ようとして布団にしがみつかない)
これを念頭に置いておいてください。
睡眠時間のスケジュールを組みつつ、体の睡眠欲求にも合わせていきましょう。
もしなかなか改善しない、もっと早く何とかしたい場合は一度、当薬局にご相談下さい^^